2012年05月15日

宥姉の暖かい牌を集める能力はどれくらい強いのか?

阿知賀05cb.jpg


 玄曰く「私と一緒くらいだよ」。
 玄の能力は相当なチートだと思うんだけど、宥はどんな感じなのか。

 あったかい牌が来ること。
 「へー、それで?」と思うかもしれないけれど、これが結構強い能力。


 能力の整理

  赤い牌とは?

 一萬二萬三萬四萬五萬六萬七萬八萬九萬一筒三筒五筒六筒七筒九筒一索五索七索九索中
 の赤い塗料の入った20枚。

 船久保浩子の分析によると更にこれが偏って、こんな感じになる。

阿知賀06zb.jpg


  

 左からマンズ、ピンズ、ソーズ、字牌だとする。
 宥の所に来ている牌は、中がダントツ、次に一萬二萬三萬四萬五萬六萬七萬八萬九萬
 その後で、六筒七筒九筒九索
 それから一筒三筒五筒一索五索西という感じらしい。
 西が多いのと七索が少ないのは紛れだろう。

 これから考えると、赤が入った牌の中でも「赤い面積が多い牌がよく来る」ようだ。(赤ドラは不明だが、赤ドラにも影響するならさらに強い)



 捨て牌と手牌の確認

 二回戦東一局

阿知賀05ca.jpg
阿知賀06za.jpg

 手牌:中中中一萬二萬三萬六萬六萬六萬七索七索六筒七筒
 捨て牌:三索白三筒南九萬五索横八萬
 解析:20牌中17牌が暖かい牌



 二回戦東ニ局

阿知賀06f.jpg


 手牌:一萬一萬一萬五萬赤六萬六萬七萬八萬九萬九萬 中中横中
 捨て牌:南七索九筒六筒二萬四索南東の可能性もある)
 解析:19枚中17枚が暖かい牌



 二回戦東三局

阿知賀06zf.jpg

 手牌:一萬一萬二萬三萬六萬七萬七萬八萬九萬二筒三筒五筒六筒七筒
 捨て牌:不明
 解析:14牌中13牌が暖かい牌


 二回戦東四局

阿知賀zd.jpg
阿知賀06zg.jpg

 手牌:二萬二萬二萬三萬三萬五萬六萬七萬五索七索五筒六筒七筒
 捨て牌:二筒三索白發八筒二索九索中中東白
 解析:24牌中17牌が暖かい牌


 二回戦東四局一本場

阿知賀06zh.jpg
阿知賀06zi.jpg

 手牌:一萬一萬一萬四萬五萬六萬九索九索七筒八筒九筒九筒九筒
 捨て牌:南白六索一筒八萬横西二索
 解析:21枚中15枚が暖かい牌


 総合

 合計:98枚中79枚が暖かい牌。率にして80.6%。
 通常は、58.8%(20/34)なので、確かに偏っていることがわかる。


 宥姉の能力を踏まえた特徴

阿知賀06k.jpg

  地味にテンパイ速度が速い

 ある種の牌に偏っていた場合、実はテンパイ速度が早くなる。
 34種まばらに来るよりも、20種だけが集中して来る方が速いのは当然。
 事実、作中でも、6順目リーチ、5順目に哭いてテンパイ、不明(イーシャンテン)、11順目にテンパイ、6順目リーチと普通よりも速いことが描写されている。

 ただし、同じく作中に描写されていたように、マンズのホンイツか567の三色にでもしない限り、役が絡むことは少ない。

 その為、平均打点は高くない可能性がある。実際、リーチの二回は愚形であり、二回戦次鋒戦ではさほど稼いだ描写ではなかった。(ただし、平均打点は後述の5の赤ドラが来やすいかによって大きく変わるため、低いとは言いづらい部分もある)


  マンズのホンイツになりやすい

 結構簡単にマンズのホンイツになる。
 確率が上昇する20牌の内、マンズが9牌、中が1枚あり、半分がホンイツの素材なのは大きい。
 (船久保浩子のデータを信じるなら、マンズと中が、来ない牌の三倍以上の確率で来る感じに。本当だったら、かなり楽にホンイツが出来るツモになる)


  各色の赤5も来やすい

 五萬五筒五索も赤が入っているため、五萬赤五筒赤五索赤も来やすいことになる。

 もし、「赤ドラ=赤い塗料が多い牌=より暖かい牌=来やすい牌」なら、高火力をも搭載する能力者となる。


  チートイツが簡単

 34牌だと重ねるのに苦労するけど、来やすいのが20牌とわかっているので牌の選択がすごく楽。
 チートイ狙いの場合、確実に有利。

 しかも、ツモることに固執しなければ、相手の裏をかいた「冷たい牌待ち」にもできる。


  三色についての考察

 567の三色は、五萬六萬七萬五筒六筒七筒五索七索六索以外はすべて暖かい牌なので揃いやすい。
 789も七萬八萬九萬七筒九筒七索九索と多いが、八筒八索と二枚無いので結構確率が下がる。(冷たい牌を引く確率は暖かい牌に比べてかなり低いので、たかが1枚でもかなり違ってくると思われる)

 逆に234の三色はまずできない。


  チャンタにもなりやすい

 一萬二萬三萬七萬八萬九萬一筒三筒七筒九筒一索七索九索中に赤い色が入っているのでチャンタにもなりやすい。
 問題は、二筒八筒二索三索八索あたりの冷たい牌。

 上手く冷たい牌が揃っている時だけだが、充分狙える役である。


 他家の分析

阿知賀06g.jpg
 
 宥姉が暖かい牌を集めることで、自然と他家に冷たい牌が行くことになる。
 冷たい牌はこんな感じ。

 二筒四筒八筒二索三索四索六索八索東南西北白發

 では、これら冷たい牌が多くなるというのはどういう影響をもたらすか?


  冷たい牌には字牌が多い

 宥姉に暖かい牌が多くなるおかげで、他の三人に冷たい牌ばかりが行く計算になるのだけれど……。
 実はこれが結構いやらしい。
 他家は、無駄な字牌を引く確率が増えるのだ。

 宥姉が牌の偏りからテンパイ速度が速くなるのに対し、他家は字牌が増えて遅くなる。(三人が冷たい字牌を持ち合うため、麻雀用語で言う「持ち持ち」の状態も増え、動けなくなる可能性も高い)

 トータルでは宥姉が相当有利な場になる。


  5と7の牌が来にくい

 3と7の牌は麻雀用語でキー牌と呼ばれる重要な牌。
 その内の7、七萬七筒七索は、ピンズ、ソーズ、マンズともに宥姉に行きやすい。
 また、五萬五筒五索も来にくくなるため、手牌が上下に分断されやすくなる。

 5と7が来にくいことで、

 一.三色が難しい。(234だけはまだ楽にできるかもしれない)
 ニ.イッツーも微妙に難しい。
 三.ピンフもできにくくなる。
 四.ホンイツも若干できにくくなる。(でもコレについては、字牌が来やすくなることから、相殺して、普通くらいの確率になるかも)
 五.チャンタは難しい。


 以上より、全体的に役ができにくくなる。
 結果、打点が低い戦いを強いられる。

 なお、役ができにくいのは宥姉もだが、宥姉だけはマンズのホンイツとチートイツが簡単にできるという特権があり、役の面でも宥姉にだけ有利な場ができることになる。


  タンヤオができやすくなる

 一萬九萬一筒九筒一索九索ともに暖かい牌のため、他家はタンヤオが若干作りやすい。

 作中描写されたように、ピンズとソーズのタンヤオ対宥姉によるマンズのホンイツという構図になりやすい。

 これだけは宥姉も苦手にしているようで、二条泉の仕掛けを嫌っていた。
 (とは言え、実際にやるとなると、中有りのマンズのホンイツ対タンヤオで勝負していることになり、打点の面で宥姉が有利。タンヤオ側がマンズを引いてしまい、降りてしまうケースが多いと思う。なので、現実的には宥姉がダンゼン有利だと思うのですよ)


  チートイツ、トイトイができやすい

 来る牌が偏る以上、冷たい牌に絞ればチートイツ、トイトイができやすい。
 ただし、一般よりもできやすいというだけで、宥姉の方ができやすい。
 冷たい牌への偏りは三人に分散されており、一人あたりの確率にするとさほど上昇しないためだ。


  席順を踏まえた有利不利

 実は、二条泉の座った席(下家)は、対宥姉戦において、本来なら足りない赤い塗料のタンヤオ素材を一番哭ける位置であるため、最も有利な席だと考えられる。

 にも関わらず宥姉に競り負けているということは、宥姉と二条泉の基礎的な性能差はかなりあると思われる。(本当にそこまで考えていてネームを切っていたら、小林立さんすげーと思う。でも麻雀への造詣が物凄く深い方なので、もしかしたら本当にそこまで考えて宥姐の下家に配置した可能性もある。例えば漫画の三巻で、国広一が「席順のお陰で竹井久のツモを哭いて飛ばす回数が多かった」と表現をしているので、席順もしっかり考えた上でネームを描いている可能性がある)


  他家は打ち方の変化で、宥姉に対抗できるのか?

 多分、無理。
 牌が偏ることからのテンパイ速度、中有りのマンズのホンイツという打点の高さ、通常とは違う牌の偏りへの慣れなど、全部宥姉にだけプラス修正がつくが、それを崩す効果的な対策はない。
 ピンズとソーズのタンヤオに特化してスピード勝負に持ち込んでも、同じく速い宥姐の赤入り中ホンイツに平均打点で負けるため、長いスパンで考えれば宥姉が確実に勝つためだ。


 船久保浩子が「いやぁ……こりゃ、ちょっと。簡単には対応できんかも」と言っていたのは仕方のない発言だと思う。上手な対策など現時点で思いつかない。というか、恐らく見つからない。


阿知賀06l.jpg


 まとめ

 飛び抜けた攻撃力も、飛び抜けた守備力もない為、一見強くなさそうに見える。
 だが、分析してみると確実に強い。


 来る牌が偏るため、若干他家よりも早くテンパイするし、打点の勝負でも強い。
 しかも、宥姉だけが「この牌の偏りに慣れている」のだ。
 サッカーで言うなら、「ずっとホームで戦える状態」に近い。

 特に、能力なしのデジタル打ちには天敵。
 牌が来る確率ががらりと変わるので、常識的な牌効率では対応できない。


 実際には玄の方がかなりのチート能力だと思うけど、「私と一緒くらい」と言われるのも納得の強さ。
 誰に対しても安定した強さを発揮し、しかもこれといった攻略法が無いのだから。


 参考記事:玄の能力は超絶チート、伊達に阿知賀の先鋒じゃない
 参考記事:玄のツモと手牌をちょっとだけ試してみた(実験)
 参考記事:園城寺怜の能力はどれくらい強いのか?


 
posted by 真鯛 at 18:11 | Comment(10) | 特殊能力、打ち筋の分析 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
毎回なるほど。と納得できる分析で、いつも楽しく読ませて貰っています。
咲や衣の能力もいつか分析されるのでしょうか。
不確定な部分が有り過ぎですが、能力者を並べて、ランク付けして欲しいですね。
Posted by ドラゴン at 2012年05月15日 22:57
ありがとうございます。
楽しんでいただけてなによりです。

咲や衣……ですか。
正直なことを述べると、支配系能力の二人は魔物の域に入っている為、分析が通用しません。

例えば衣。
イーシャンテン地獄に陥らせて、一人海底で和了るだなんて、打ち筋を無視した魔力ですから、それを超える支配力を雀力とは別に発揮しないと勝てないことになります。

ランキング……は作るの楽しそうですねー。
もしかすると、という程度ですが、時間があれば考えてみます。
Posted by 管理人 at 2012年05月16日 00:20
相変わらず、面白いしためになる考察です!

>他家の分析
のとこの冷たい牌のみを並べた画像、想像していた以上にはっきりと「冷たい」感じがして驚きましたww
色と視覚って偉大なんだなあ……。
Posted by at 2012年05月16日 13:15
ありがとうございます。

私も貼り付けていて、まったく同じ感想を持ちましたw
それに気付く小林立さんの視線は鋭いんだなあと思いましたよ。
Posted by 管理人 at 2012年05月16日 22:13
初めまして、佑紀です。
更新楽しみにしておりました。
原作6話の分布で興味深かったのは、北以外の風牌は3割以上ツモっていること、
567・678・789の3パターンについては三色も充分可能なことの2点でしょうか。
>西と7s
概ね紛れだと思いますが、北の風牌以外は概ね3割から5割のツモ率であることや
回想をふまえて考えると、何かしらの意味があるかもしれません。
36は索子だけが赤くないこと、248は逆に萬子しか赤くないことも
こうした分布にしたことに繋がっているかも知れませんが。
>その他気付いたこと
・萬子の一色と上の方の三色に注意する程度に留め、基本的には普通に打った方がマシなこと。
・8pはそのもののツモ率は低い一方、萬子以外では最も危険な牌の1つでもあること。
・68s東南西は赤くない牌の中では比較的多くツモっていること(西は5割弱、東は4割弱、68s南は3割前後)

・まとめ
理論上字牌が半分しか来ず、不要な字牌の整理が効率的に行える為に
一色系にも全帯么九系にも断么九形にも構えやすいことや
暖かみのある牌を切れ、対象外の牌で待つのも可能なことは強みと言えそうですね。
中とリーチをメイン武器に、萬子の中張牌が多く索子や筒子の57もあれば567の三色、
萬子の中張牌が少なく索子や筒子の179があればチャンタ系や789の三色、
萬子以外殆どが字牌なら一色系というのが無理のない戦略と言えそうです。

長文失礼しました。
Posted by 佑紀 at 2012年05月19日 22:57
はじめまして、佑紀さま。
そうですよね。結局は自分の手を最速でかつ出来る範囲で最高打点にするのが、一番の宥対策だと思います。

 三色についてですが、冷たい牌がある確率が2割として、18順のツモで+配牌で大体5〜7枚。なので、789はまだしも、678は難しいかな、と思っています。

 チャンタに関しての言及は迷って入れなかったのですが、折角ですから付け加えさせて頂きますね。
 また何かあればよろしくお願いします。
Posted by 管理人 at 2012年05月20日 11:21
中に関するツモ傾向と偏りはすごいですね。
(ほぼ100%待ちに使われることもなさそうな牌(23s北白發)と比較して最大で7倍前後
待ちには意外と使われそうな牌(248p468s東南西)と比較したとしても最低で2倍程度となります。)

しかし、三色もしくは萬子の一通と中で3翻、このリーチや面前ツモ等の1翻役との複合で悠々と満貫に届きますから
跳ね満以内は十分射程圏で倍満も十分狙えることこそ宥姉の強みだと思います。
トップ目や連荘を優先する方が望ましい親番時等無理する必要がなければ中のみ、リーチのみ等で流し
ここぞというときに跳ね満以上を目指したり満貫をコンスタントに和了ったりするのが宥姉の基本戦略と言えそうです。

そういえば、捨て牌によっては何で待ってるか判らないのも厳しいですね。
萬子の染め手かと思いきやリーチ、中、一通の満貫だったり、
やっぱり萬子の面混一通中で跳ね満確定だったり
はたまたリーチ、中、赤4は確定で最高めが三色を含めた倍満だったりしそうです。
(赤567m 赤5p*2 567p 赤567s 中中中という和了形で58p待ちや6sの嵌張待ち)
Posted by at 2012年06月11日 12:38
素晴らしいまとめでした。

しかし、むしろこれだけの能力性能を前提にすると
プロファイリングのミスという痛い過程を経つつも
有利な位置についたとしてそれを十分に生かして
トップと大差ない+収支で終えた泉ということは
作中で基礎雀力と呼ばれる部分は泉>宥とも思えます
実際の宥の性能は能力込みなので、それだけですが

ただ、基礎雀力というのも考え方が難しいですね
玄は地力がない、宥は地力があるという議論を目にして
能力の違いが能力の取り扱いの違いと出ただけでは?
と思ったことが。二人は地力に差がない印象です
Posted by merry at 2012年12月25日 18:47
merryさま
 この話題はちょいと琴線に引っかかる、というか、機会があればいつか書きたいなあと思っている作品にもろにかぶる部分なので、ちょいと眺めに書きますね。(能力を前提としたゲーム系バトルもの)


 性能とは別に、基礎雀力を図るのは難しいですねー。
 能力ありの場合、どうしても自分の脳力を意識して打ち方が変わります。
 また、能力を前提とした場合、セオリーが歪みます。

 その「能力を前提とした打ち方」も相当訓練しないと馴染みません。練習ソフトもなく、師もなく、気づきを与えてくれるはずの他人のサンプルがまずないので、一般的な「強い打ち方」と比べて練度が下がります。


 その上で……。
 「牌譜が全て意図的なもの」なら、玄と宥は地力の差がありそうだと思っています。
 阿知賀編の玄は自分の能力に慣れてないんじゃないかと思えるくらい、下手です。どうあがいてもカンするしかない形を残してしまったり、ドラが来る前提で打っていなかったりするのです。
 二人に地力の差があると発言した方は、そのあたりのことを考えて述べたのかも……と考えます。

 まあ、玄の方が尖った能力なので、扱いが難しいのもたしかなんですけどねー。
Posted by 管理人 at 2012年12月25日 21:07
咲キャラの能力分析おもしろいですよね
本編主人公の清澄の能力者は5人中2人?に対し、阿知賀は5人中4人が能力者ですから魅力的です!

今回宥姉が焦点ですが実はこの人、「全体効果系の能力者」なんですよね
考察のとおり、宥姉に赤い牌が集まるということは、同時に、冷たい牌(赤以外の牌)が他家に行きやすいことになります。
ということは中以外の字牌が他3人に行きやすくなるため他家3人は配牌効率が下がります。
つまり赤い牌が自分に集まるということは、他家に不要牌が行きやすくなる。
これ副次的な効果が強すぎです。
決勝では絶対宥姉が無双してくれると思いますよ(笑)
Posted by at 2014年03月13日 21:49
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: