2012年05月25日

二回戦大将戦における穏乃の打ち回しについて

穏乃01.jpg

 オーラスで11900点差は厳しい。
 直撃で6400か、他家から出上がり12000が必要なんだけど、簡単にクリアできる条件ではない。(リー本2本の時に満貫ツモか、劍谷がリーチした後に満貫ツモでも可なんだけど、まずない)


 オマケに配牌が悪い。
 一萬一筒三筒五筒赤九筒九筒二索三索三索中東西 ドラ一萬
 で、しかも席順は一番不利な北家。(ツモ順が四番目なので、一番遅くなりやすい)

 ここから跳満と言われても正直難しい……んだけど穏乃は諦めない。(一度目) 


穏乃02.jpg

 良くない配牌からガシガシと引いてきてテンパイしたのがこの形。
一萬一萬一筒二筒三筒九筒九筒九筒一索二索二索三索三索

 二枚切れの一索だけという限定付きだが、ジュンチャン、イーペー、ドラ2の跳満(12000点)条件をクリアしている。

 この間ムダヅモ無し。物凄い引きの強さ。


穏乃03.jpg
穏乃04.jpg

 ところが、清水谷竜華がさくっと四索を切る。
 役が無いので、この四索では当たれず、穏乃はフリテンという状態になり、次のツモまでどの捨て牌もロンできなくなる。

 そのタイミングで劍谷の大将が切った牌が一索
 一索は4枚しかないので、これで全部見えたことになり、穏乃の跳満はこのままの形では和了れない。

 だが、穏乃は諦めない。(ニ度目)


穏乃05.jpg
穏乃06.jpg

 三索を引き込み、一萬一萬一筒二筒三筒九筒九筒九筒二索二索三索三索三索の形に。
 これで、一萬をツモれば、ツモ三暗刻ドラ3で跳満(12000点)となり逆転できる。

 んだけど……越谷が最後の一萬を切って、この形もアウト。


 だけど、穏乃は諦めない。(三度目)
 逆境特性でも持っているのか、さらに牌を引き込み、待ちを変化させる。


穏乃09.jpg
穏乃08.jpg

  三筒をツモり、一萬一萬一筒二筒二筒三筒三筒九筒九筒二索二索三索三索に。
 チートイドラ2で6400点。

 劍谷から直撃すれば、という難しい条件がつくが、ピッタリ逆転する手が完成する。


※以下、読み飛ばして構わない註釈。

 実はここでもう一つ選択肢があった。
 リーチしてツモれば、リーヅモチートイドラ2で跳満になる。

 どちらを狙った方がいいのかは解らない。
 穏乃のようにダマで直撃狙いにするか、それともリーチしてツモ狙いにした方がいいのか。上級者に聞いても意見が分かれると思う。ちなみに、私だったら劍谷が出す可能性が低いと考え、リーチしちゃってるだろうなあ……。
 ちなみにこの形、ロン上がりでも、即か海底か、裏が乗れば跳満になるんだけど、チートイの中でも、対子が連続している為、裏が乗りにくいため確率は低い。(裏ドラになれば嬉しい牌を自分の手で対子として使ってしまっているため、裏にいる可能性が少なくなっている)


穏乃11.jpg

 ここで竜華がちらりと四筒を見た後、手に入れることなくツモ切る。


※ここも以下、読み飛ばして構わない註釈。

 ツモ切るにしても、よくやっているように手牌に置いてから切る描写をすればいいのに、わざわざチラ見だけにしているのは不思議な演出だなー、と思って見てたんだけど、思い出したのは『第四話』で玄がやったツモ切り。
 玄は一索一索一索四索五索赤六索七索四筒五筒赤六筒四萬五萬赤六萬から、牌を手に入れず、あからさまにツモ切りモーションをして山越しを誘い出した。(玄ちゃん、微妙に黒い……)

 竜華のちら見四筒切りもこれに似ている気がした。


 ツモ切りだとわかるモーションで竜華の打牌を描写したということは、越谷が一筒を切った時の反応を見て、穏乃の待ちを一筒と読み、「竜華がこっそりアシストした」という演出意図を加えたかったのかもしれない。(明確にアシストしたとなると阿知賀を助けるために曲げた打牌しやがってと悪役にされる可能性が高いので、視聴者にもギリギリ気づかれない演出になっても構わないという判断)


 まったく逆の可能性もある。
 最初、四索切りで穏乃の和了を潰したように、この四筒も「穏乃の劍谷直撃狙い」を潰しに来ていた可能性。
 結果、上手く、穏乃が和了る形になったけれど。


 追加。竜華個人としては穏乃に勝って欲しいのだけど、四筒切りは穏乃の和了を潰しかねないと考え、見た瞬間に手が止まり、引き入れなかった可能性もある。(「この子、まだあきらめてへん」という台詞からわかるように、テンパイには気づいているようなので)


 とは言え……、この竜華のチラ見ツモ切りの解説は、自分で言うのもなんだが深読みし過ぎだと思う。なので、「あはは、変なこと言ってるなー」程度で忘れてもらった方が良いかも。

 ……気を取り直して最後の解説へ。


穏乃15.jpg
穏乃13.jpg

 で、劍谷の大将が一筒を振り込んで終了となるんだけど、これは正直仕方ない。
 手は右端の二枚は不明だけど、恐らく、二萬三萬四萬五萬七筒九筒四索五索六索七索八索八索八索


 この時の捨て牌が、竜華視点からだけどこんな感じ。(←が阿知賀、→が劍谷)

穏乃16.jpg

 一巡前に越谷が直前に一筒を捨てていて、穏乃はツモ切り、竜華が四筒を切っている。

 で、何を切るか、なんだけど。
 最も安全な牌は一筒
 攻撃的に行き、最も形を崩さない牌も一筒


 オリの場合、阿知賀の現物となる九筒があるんだから、それを切ればいいじゃないかと思うかもしれないけれど、忘れてはならないのは、劍谷からすると千里山も警戒対象だということ。
 南三局に穏乃が越谷から12000を食らったように、脇から刺されて敗北という可能性もある。

 千里山は親なので、もし満貫あると12000。
 穏乃がドラの五筒赤を切った時に、竜華がさくっと四索を切っていることから、「阿知賀がテンパイ気配で、竜華も振り込みを怖がらずまっすぐ来ている」と考えるのが普通。

 放っておくと阿知賀がハネマンを和了って終了の可能性があるので、劍谷としては、自分が和了って終わらせる選択肢を残しておきたい。
 でも、脇の千里山が親満をテンパイしている可能性があるので、竜華の捨て牌にも気を使う必要がある。


 よって、竜華が捨てた四筒の筋であり、越谷が先順に通している一筒切りが攻守ともにベストとなる。


 つけ加えて言うなら、この打ち方は劍谷の特徴のようだ。
 六順目に竜華が四索を切った時、あわせて一索を切っている。
 この時の一索は劍谷のファインプレイで、この順よりも後で切っていたら12000点振り込んで終了だった。


 でも、同じコンセプトで切った一筒がアウトだなんて……。
 麻雀の神様は意地悪だとしか言いようがない。


 なお、この一筒を止められるのは、咲や衣といった魔物や、怜などの能力者だけ。
 モニターで見ていた劍谷の応援団も、彼女の打牌を責めることはないと思う。


 阿知賀が準決勝進出という結果になるんだけど、諦めない穏乃という特徴を見事に表現したこの麻雀シーンは、凄く良く考えられた闘牌だったと思う。


穏乃05.jpg
posted by 真鯛 at 00:04 | Comment(4) | 阿知賀編(考察) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
解説ありがとうございます。

そこまで細かいところを仕込むとな〜。最初は「竜華は何を切っても勝つから、牌を切るときはあまり考えず適当にやってるだろう」とか「劍谷の子、和了を諦めて、完全にシズのロンの可能性に集中すればほうがよかったかも」とか、浅はかに考えてしまいましたが、解説を読んでいろいろ勉強しました。
Posted by Cytrus at 2012年05月26日 08:26
 竜華のチラ見切りは、他の時のツモ切り描写のように、手牌を写してそこにツモ牌を上に乗せるなどして、普通に切ればいいことだと思います。

 なのに、わざわざチラ見だけですませたというのは、スタッフが何かしらの意図を含めたかったのでは、と考えました。
 そこから強引に推測した結果が、挙げた3つ(1つさっき足しました)なのですが、竜華の手牌がわからない以上、ここはこのままわからないと思います。

 解説ではああ書きましたが、シズのロンのみを警戒して降りる……という「賭け方」でもありだったと思います。でも、これは、シズの手が跳満に満たない、かつ両脇が12000点に満たない、というニ条件が必要ですので、少々怖いかもですね(笑)
Posted by 管理人 at 2012年05月26日 11:14
千里山としては次の白糸台…というより照対策として阿知賀(玄)に勝ち残ってもらいたいってのは可能性としてあったのかもしれないですね。
照の打点上昇対策として同卓に玄が居れば照にドラがいかなくて高い手を作りにくい訳ですし……
まあアニメの竜華の反応を見る限り考えすぎだと思いますけどw
Posted by at 2012年05月29日 12:10
 竜華の発言及び打牌の意図は、手牌が公開されていないのでつかみにくいですよね。
 照の分析が済んでいるなら、あの理由(一応ネタバレ配慮)で玄が必須と考えた可能性はあります。実際、多少苦しめている描写が一箇所だけありましたしね。
Posted by 管理人 at 2012年05月29日 19:03
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