以下、ネタバレ……というか、根こそぎフランケンを読んだ人しかわからない記事を。
■ 竹井と田村における「中」という牌
「世紀末ギャンブル黙示録編」で、最初に竹井と田村が戦った時、竹井は中ドラ1で先制した。
その時、田村がとがめて言う。
「今の局は誰もテンパイしていなかった そういう状況であんたは中ドラ1をアガるような軽い麻雀をする奴だったのかって聞いてんだよ」
竹井の中鳴きによる軽い仕掛けは、田村に咎められる。
以降、竹井対田村戦では、「中」の鳴きがキーワードになる。
竹井対田村の再戦。
軽い中鳴きを咎められたのを見返すように、中鳴きでマンガンを和了る竹井。
それにより、田村も竹井を認めるような発言をする。
中盤での山場。
竹井による大三元の仕掛けは中から。
そして、竹井が一矢報いる時の和了が中。
最初に引用した画像で言っていたのと対比させるかのように、軽い仕掛けでも田村の逆転手を蹴るような仕掛け。
偶然?
いや、これは作者が意図したのかもしれないと思っている。
そもそもこの戦いをやっていたお店の名前が「中」なわけで。
■ 田村における「發」
竹井対田村において象徴されるような牌は他にもある。
竹井が「中」なのに対して、田村は「發」。
最初出会った時に勝ち切ったのが、發単騎のチートイツ。
再戦時、竹井の「中」での和了の次に同じくマンガンツモを返したのが「發」がらみ。
ただし、負けの要因となるキー牌も「發」絡みになってしまう。
多分、この「發」も、竹井のこの戦いにおける象徴牌である「中」に対抗して、意図的に重ねられてる……と思う。
■ 竹井対田村における「6マン」という綾牌
あと、竹井対田村の戦い全般において「6マン」が綾牌にされている。
そのことを説明する前に、まずは簡単な用語説明。
「綾牌」とは、マイナーな(?)麻雀用語で、その日に妙に目立つ牌みたいなもの。あるゲームで「3ピン」で振り込み、あるゲームでは「3ピン」を残したおかげで和了れ……という風に、結果的にその日のキーポイントになった感じの牌のことをいう。
以下、6万が登場したシーンを幾つか。
■ 2マンか8マンか
それからもう一つ。
序盤、竹井と田村の運の分岐点となるのが、脇のプレイヤーが2マンを切るか8マンを切るか悩むところなんだけれど、この2と8というのが多分、最終決着でアヤとして取り入れられている。
竹井はすでに和了っている形から、2マンを切って8マンを即ヅモで和了る。
先ほど紹介した、2マンを切るか8マンを切るかの状況と重ねられている……と思う。
■ 問題は……。
以上紹介してきた牌の重なりは偶然かもしれないということ。
というのも、こういった重なりは竹井対田村戦でしか見られないのだ。
(重なりが好きな作者は他のシーンでも重ねてくることが多い。例えば、『咲-saki-』は、このブログでもたくさん紹介してきたように、対比や構図の重なりが妙に多い。これとかこれとかこれとか。なお、こういった構図の対比は意外に多くの漫画で見られる。……そのほとんどが誰にも指摘されず、そのまま埋もれちゃうんだけれど……)
まあ、ともあれ。
『根こそぎフランケン』は麻雀漫画としては面白い部類に入る(と言うか、ここの管理人が頻繁に読み返す麻雀漫画のうちの一つ)作品だと思うので、気になる人は読んでみて。